取り留めもない

映画や舞台の感想書いたり、たまに日記も

ドラマ『ファイブ』の感想書きます(4話まで)

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事前にこんな記事まで書いて楽しみにしてたドラマ『ファイブ』ですがもちろん観ています。FODで観てる。それなりに楽しんではいるけど、個人的に惜しいところのほうが多い。でも、4話でなんとか気持ちが持ち直したので、そこのところを書いておく。

麻生ひな(姫)を演じる浅川梨奈ちゃんがかわいい

これ何よりの幸せ。『ファイブ』好きなんだけど、姫のどこが好きなのかっていうと男気があるところなんですけど、ドラマの姫はまあひたすら可愛い。普通にクラスにいたら惚れる。ちょっぴりKYなのでそのエアークラッシャー感が面白くてメンズファイブから好かれてるみたいな感じに仕上がってる。個人的にはこの良し悪しについてはOKとした。だって、もう、どうやったって、可愛いんだもん。仕方ないよ、みんな男だもんね。

 

松岡広大くんの岩淵拓依が正解

正直、今のところ松岡くんが圧倒的勝利です。その他のキャラクターが2次元にも3次元にも寄りきれない感じに表現されてしまっているから、いまいち「かっこいーーー!!!」とも思えないし、萌えないし、結構しんどい。『ファイブ』ってアクションも多いけど、登場人物の何気ない会話が重なっていく感じが絶妙で、些細なやり取りからメンズファイブの仲の良さとか信頼しあってる関係性を感じられるんですよね。それが、なんか、いまいち棒。でもその中で松岡くんが圧倒的にナチュラルで、でも漫画っぽい拓依のまっすぐなキャラクターを上手に表現してくれていると思う。ドラマのお陰で拓依のこともっと好きになった。

 

生徒会執行部はメチャクチャ安定感がある

山近のトッシー好きも、悦の山近しか見てない感じも、充の潔癖そうな正確も、小諸の可愛いのに喧嘩っ早い感じも、どう考えてもとんでもキャラクターにも関わらず、メチャクチャいい。特に加弥乃ちゃん演じる小諸はなんていうか『チョコミミ』思い出しちゃったりしながら最高だなって思った。あと、山近にはもっとトシに絡みに行ってほしい。

 

真人に対してあげてたハードルは無駄じゃなかった

舞台『艶漢』の男の子(櫻井圭登)が真人をやると知ってそれはそれは期待していた。

 アリでした。かなり良かった。漫画の真人はもうちょっとコスプレで男装した人みたいなイメージだけど、自然にいるとしたらこんな感じだなって感じだった。彼のお陰で気持ち保っていけるわ~でも今後の登場頻度は低そうだけどな。ケビンが出てこない限りは大きな展開はなさそうです。声の出演かな…泣く…

 

ドラマCD『ファイブ』をお聴きください!

ドラマやってるところでこんなこと書くのほんと無粋だなと思うんですけど、やっぱりドラマCDが最高だったんですよね。

 私、声優に詳しい方ではないのですが、このドラマCDに参加しているメンバーはわかる!!!って感じに豪華なメンツで、漫画のファンだっただけの私が全部揃えましたからね。今聴いても最の高ですよ。櫻井くんの真人が良いと思ったのも甲斐田さんのかすれているような声に似ていたからというのもあります。どうしてもこれとドラマを比べてしまうというか、もっと気持ちを声で仕草で体現してくれたら、もっとキャラクターが生きるのになという思いが拭えず、なんとか今後良くなっていくことを願うばかり。多分、5話は熱海遠足、6話で文化祭だと思うので、エピソード的にはどちらも楽しみ。ついでにはやく百瀬朔くん演じる乃浬ちゃんに出てきてほしいし、できれば白鶯学院とも戦ってほしい。ケビンはまあどっちでも良いけど、下着のくだりはやってほしい。

 ってな感じでなんだかんだ書いたけど期待してるのでよろしくお願いします。

閑話休題、メンズファイブもそうだけど、男子高校生とか10~20歳代の男の子たちが時にダウナーな感じでわちゃわちゃしてるのがすごく好きで、古くは山川あいじの『アニマニアル』の登場人物とか、最近だとあびるあびいの『VIVA LA VIDA!! 』やビリー・バリバリーの『朝とミーチャ』に出てくる集団でいると個性が分かりにくいけど、実はみんなキャラが濃いみたいな人たち。ああいう人たちが出て来るとめちゃくちゃ喜ぶのでおすすめがあったら教えてください。

映画『コンビニ・ウォーズ』

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STORY

コリーン・コレット(リリー=ローズ・メロディ・デップ)とコリーン・マッケンジー(ハーレイ・クイン・スミス)は大のヨガ好きJK(女子高生)。怪しいヨガの先生(ジャスティン・ロング)に教えを請いながら怠惰なハイスクールライフを送っていた。ある日、2人は店長不在のバイト先のコンビニで学校のモテ男子とパーティを行おうとするが、誤って地下に眠っていた邪悪なミニナチ軍団を呼び起こしてしまう。長い眠りから覚めたミニナチ軍団は巨大な怪物を解放し、世界侵略へと動き出す。2人の女子高生VSミニナチ軍団。今、世界を守る戦いの火ぶたが切って落とされる―コンビニで。 

映画『コンビニ・ウォーズ~バイトJK VS ミニナチ軍団~』オフィシャルサイト

REVIEW

アメリカ人によるカナダ人への偏見に満ち溢れたかわいくてくだらないコメディだったな…ほんとびっくりするぐらい推しポイントは少ないんだけど、リリー・ローズ存在するだけで可愛い。ハーレイ・クインの方は典型的なアメリカンコメディに出てくるティーンって感じで予定調和感がサイコー!リリー・ローズの引き立て役になってるのかなと思ったらそこまででもなく、かといって見せ所があるかというと謎だけど、若いうちはムチムチでも露出はしていくべきだなと思った。18歳ってマジかよ。あとは、うん、ウザい男子生徒はめちゃくちゃウザい。良いところなし。スケーターボーイみたいな子はめちゃくちゃキュート。でも圧倒的に中身空っぽって感じがする。それも含めてティーンズコメディだな~と思った。以上です。

映画『逆光の頃』

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STORY

伝統が息づき、国内外から大勢の観光客が訪れる京都で生まれ育った赤田孝豊(高杉真宙)は、どこにでもいそうな高校2年生。将来への漠然とした不安を抱きつつ、思春期真っ盛りの同級生たちとの日常や、幼なじみのみこと(葵わかな)へのひそかな恋などを経験しながら、少しずつ成長していく。

映画『逆光の頃』 - シネマトゥデイ 

REVIEW

これに尽きるんですよね~~~~~~~~~~~!!!

高杉真宙葵わかなの恋模様に良い年した大人が胸キュンキュンさせちゃうし、頭がいいのにバンドで成功する夢見て上京しちゃう清水尋也のUKロック好きそうな英語の発音にも非常に萌えてしまうし、このところ全体的に生活が荒んでいた私にクリンヒットしてしまって、これがもう最高だった。不良役で出てきた金子大地くんもマジクソドタイプだったので死んでしまった。恐るべしアミューズ

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金子大地 (@daichikaneko_official) • Instagram photos and videos

ところで、まひろっぴと清水くんの『渇き。』コンビを永遠にパッケージ化してほしい(?)気持ちです。川原で水遊びしているところを見ていられるのなら、京都の暑さになんか負けないわ???とまあ、気が違ってしまいそうなくらい良質なイメージヴィデオでした。まひろっぴが監督に愛されているのは分かったのだが、危機感さえ感じるよ。まもって守護月天!そんなことはどうでもいい。

 

観て!!!

 

gyakko.com

朗読劇『陰陽師』藤、恋せば 篇

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STORY

平安時代

闇が闇として残っていた時代で、人々の何割かは、妖(あや)しのものの存在を確実に信じていた頃である。

遠境の森や山の奥ではなく、人も、鬼も、もののけも、同じ都の暗がりの中に、

時には同じ屋根の下に、息をひそめて一緒に棲んでいたのがこの時代である。

夢枕獏 陰陽師「玄象という琵琶鬼のために盗らるること」より

陰陽公演 朗読劇「陰陽師」公式サイト

REVIEW

朗読劇というものは荒唐無稽な世界を表現することにこんなにも打ってつけなのかと、不思議なまでにそう思った。劇中の琵琶や古楽器の生演奏もなかなか聴くことができないものだし、世界観の表現には不可欠だった。この世のものではない何かが跋扈する、そんな世界で彼らとともに生きている人間と、人間なのかさえ妖しい安倍晴明池田純矢は声の表現が巧みで、どんな声色を出させても違和感なく別のキャラクターを眼前に感じられる。「気味が悪い」安倍晴明に色気を与え、河原田巧也が演じる源博雅さえ彼の魅力に惹きつけられる。晴明も源博雅も自分たちの詳細を説明をすることなく、物語は妖しいものたちに焦点を当てる。観劇後は一冊の短編集を読み終わった感覚だった。夏が来たのだと思った。

閑話休題新宿FACEという会場はなかなかに歌舞伎町のど真ん中で、物語が物語なだけに観劇後の興ざめ感が残念だった。

映画『獣道』

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STORY

とある地方都市で生まれた少女・愛衣(伊藤沙莉)はいつも母の愛に飢えていた。そんなある日、信仰ジャンキーの母親によって宗教施設に送られ7年もの間世間から隔離されて生活をすることになる。自分の居場所を探そうと教祖や信者たちと疑似家族を作り上げていく愛衣だったが教団が警察に摘発され保護されてしまう。すでに違う宗教にはまっていた母の家にも、初めて通う中学校にも居場所はなかった。愛衣は社会からドロップアウトして万引きと生活保護で生きるヤンキー一家やサラリーマン家庭などを転々として居場所を必死に探すのであった。愛衣の唯一の理解者であり、彼女に恋をする少年・亮太(須賀健太)もまた居場所を探す不良少年であった。亮太は半グレたちの世界で居場所を見つけ、愛衣は風俗の世界にまで身を落とす。やがて二人の純情は地方都市というジャングルに飲み込まれていく…。 

http://www.kemono-michi.com/story.html

REVIEW

地方都市に生まれた人間には、進学か就職しか自分の状況を見つめ直す機会がない。これが本当にそうなのだ。自分の生きている世界とテレビに映る世界はどこか別物のように感じるし、両親のように生きて死ぬものだと思っている人間が、状況を変えるのは二択。ただ、この選択に手が届く人間もごくわずかという現実はあるけれど。

【以下ネタバレ】

伊藤沙莉が演じる愛衣は、特殊な環境で生まれ育ったように思えるけれど、映画のために緩急つけただけで、ネグレクトされている子供はごまんといる。そんな愛衣が居場所を求めて、田舎町を転々とする。あくまでその小さな街の中を。彼女が初めて転がり込んだ家は、そのスタートにはふさわしかった。

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年相応には見えない兄弟たち。そこに溜まる同じようなクズたち。今にもシンナーの臭いがしてきそうな画面。彼らの雑で派手な格好に北関東民としては分かりみがすごい。特に右端のちょんまげの女の子。こんな子クラスに一人はいる。すっごいカワイイのに、たまに学校に来る姿を見るとどんどんやつれていくの。生まれとはこういうことかと幼心に思ったよ。

 

露出狂ぶりの薫平くんも中学生に見えなさではナンバーワンだし、『ダブルミンツ』ぶりの毎熊克哉さんもマジで高校生か(でもわかる)となった。個人的なヒットは川籠石駿平くん。『ダブルミンツ』からのギャップがすごい。

 怖い先輩の彼女が出てきてそそくさと街を後にするハルキくんが好きです。元カノがすぐリスカしちゃうのもツボってしまうところなんだけど、冨手麻妙ちゃんの輩の彼女感も最高。閑話休題冨手麻妙ちゃんって「まなみ」って役名多くない?

そんなこんなで、この家にもいられなくなっちゃう愛衣ちゃんが、家族の愛を探し求めるお話がお話の一つの軸にある。でもそれは決して自分で作る家族ではなく、すでにある家族に愛を求めてしまい、だからこそうまくいかないことに苦しみ、傷つき、涙する。といって自分にはそこしかない感覚に陥っている。知った風に言うけれど、これほど極まっていなくても、同じような人生を送っている人も少なくないのではと思う。

そんな愛衣ちゃんを見詰めているのが須賀健太が演じる亮太。良くも悪くも亮太は普通の人間で、だから愛衣みたいなはみ出し者や暴走族に憧れて、近くに行こうとしてみるけれど、どこか冷静な自分が常にいるような人物。ともすれば飲み込まれそうな密度の世界の中で、正気を保っている方が稀有でおかしいのだけど、そんな冷静な自分が嫌な前半。そのうちにそうするしか生きていけないのだなと気づく後半。一貫して彼は愛衣や仲間たちのことを愛そうとするのだけれど、お互いの求めているものが違って上手く噛み合わない姿が痛々しかった。特に、吉村界人の演じる佑二が「置いて行かないでくれ」と懇願するシーンが、個人的には一番堪えた。明らかに道が異なってしまった友人を快く送り出せるほど人間は強くないのだと、そう思った。

最後のシーン、観た人の賛否は二分すると思うけど私は好き。初めて会話した愛衣に無邪気に放った亮太の「(お前は)特別だ」という言葉の所為で、愛衣の人生は大きく変わったのかもしれないと思った。地元では亮太の言葉に呪われ、彼の特別で居続けた愛衣。それから上京して、ある意味どこにでもいるAV女優になった愛衣。亮太の呪いを解かれてこれからどう生きていくのか。きっと亮太の冷たい目はいつまでも愛を見つめているだろうし、愛衣も亮太に再び出会う日に一歩一歩近づいている。たぶん。

 

舞台『MOJO』

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STORY

ロックンロール・カルチャー全盛の1950年代後半。ロンドンのアトランティック・クラブでは、17歳のスター歌手シルバー・ジョニーの人気に火がつき、その利権を巡って地元のギャングとクラブオーナーの間でキナ臭い空気が漂っていた。そんな不穏な気配はいざ知らず、クラブの下働きの連中はくだらない世間話に花を咲かせては飲み明かす毎日。そんなある夏の日、事件が起こる。
クラブの面々はひどく動揺するが、オーナーの息子ベイビーは奇妙なほど冷静だった。不信と欺瞞が渦巻く中、運命の夜が訪れる──。

「MOJO」 | Nelke Planning / ネルケプランニング

REVIEW

主演の先行で早々にチケットを取ったけど、もっと取ればよかったなと思った。ネルケだしなとか考えた自分が憎い。品川プリンスホテル クラブeXという円形ステージの劇場もあのクラブの世界観と合っていて、和田さん手がけた音楽が大きくなっていよいよ物語が始まるという時のあの高揚感を久しぶりに感じた。きらめく世界の中でロックンロールやビュイックというアメリカのものを愛するロンドンの若者たち。そんな姿に若干の違和感を感じながら見た世界もまた不思議な世界だった。

物語について

虚像が実体を持つ瞬間の美しさ

ベイビー(TAKAHIRO)は奇妙なほど冷静だった、とあらすじにも書かれているが、私の目の前でオーナーの死のニュースを聞いたベイビーは至極ホッと安心したように見えた。それは何故か?ひとえにこの狭く小さな世界の終わりを感じたからだと思っている。ベイビーは父親であるオーナーに、普通の父親が子供に向ける愛情とは少し異なる感情をもって、「愛されて」いた。そしてそのことはクラブで働くものは誰もが知っていて、彼等はそんなベイビーを憐れむとともに、蔑んでいた。そんな彼等だってオーナーに雇われていた身。狭い人間関係の中で、当然のように起こることに対する好悪が鈍くなっていた。単純に同じ穴の狢なのだろう。そしてそれらの個が集まってベイビーのような歪んだ人物を作り上げてきたのだ。ベイビーは周りを映し出す鏡であり、それが映し出した虚像だった。ジョニーのシルバージャケットをベイビーが羽織った時、まるで元々彼のものだったかのように感じた。本当であれば彼の役割はシルバー・ジョニー(横田龍儀)に取って代わられるはずだった。その一瞬が悪しき繋がりを露わにしていた。けれど、オーナーの突然の死を聞いた時、ベイビーはそのスパイラルがここで終わるかもしれないと感じ取った。そのために彼ができることを、やるべきことをやった。そうしてやり終えた時、ベイビーは虚像ではなく実体を持った人間になった。光のまやかしだった彼が光に向かって歩いて行く姿はとても美しかった。

死んだ牛と哀しいベイビー

ベイビーの哀しさはどこにあるのだろう。あの親を持ったこと?真の仲間と呼べるような人がいなかったこと?誰も彼を助け出そうとしなかったこと?どれも正解かも知れないが、その中でも私は彼に「生きる理由がなかったこと」が重要だと思った。中でも父親であるオーナーにドライブに連れて行かれた時の話が印象深い。あの時、ベイビーは父親に殺される覚悟をした。でも実際はそうはならず、父親が殺したのは野にいる牛だった。牛が男根の象徴で、父親がベイビーのそれを殺した(奪った)と考えると、初めてその行為を目にした時にベイビーは死んだのかもしれない。それからのベイビーには生きたいという熱烈な欲望も、死にたいという深い悲しみもなかったのだと思う。

小さな王国の崩壊

ミッキー(波岡一喜)はきっとオーナーに成り代わるはずだった。そうしてかつてのオーナーがそうしてきたように男たちを自然と抑圧し、小さなコミュニティを作って生きていく。そうなるはずだった。でも、ベイビーがそれを拒んだ。今まで蔑んでいたベイビーが彼の計画を台無しにした。しかも、ミッキーは特別なスキニー(味方良介)も一緒に失った。オーナーを慕うシドニー(尾上寛之)、スイーツ(木村了)、スキニーがミッキーに愛されようとする時、そこには打算が介在する。みんな次の王様を自然と予想していた。けれど、その王国も呆気なくに崩壊した。ひとときの裸の王様だったかのように。

ベイビーを「愛した」スキニー

スキニーは「将来子供がほしい」と言いながら、生きていくためにミッキーと関係することを選んでいるにも関わらず、子供の頃にオーナーに悪戯されていたベイビーを時折酷く罵っていた。と同時に、自由に生きているように見えるベイビーに憧れた。そんなスキニーはベイビーにとってこれ以上ない嫌悪感を感じる相手だったと思う。自分で自分の生き方を決めているのに、基本的には「ワナビー」タイプで、そのくせ人を馬鹿にしている。最後にベイビーはそんなスキニーを撃ち殺す。その行為はスキニーに対する諦めでもあり、ミッキーに対する復讐でもあった。ベイビーなりの終わりの付け方だったのだと思う。

生きているベイビーとシルバー・ジョニー

シルバー・ジョニーは目の前で起きたこと、彼を巡って起きたことの総てをまだ理解できてはいないだろう。彼は窓を開けて、夜明けの街に出ていく。「ここから出たい?」と尋ねるベイビーは今までのサイコなベイビーとは異なって見える。そのままベイビーはジョニーを光の下に連れ出してくれる。一歩先も見えなかった暗闇から、救ってくれたのだと思う。でもきっとこれから、今までの普通がそうではなかったことを知る度、ジョニーは苦しむことになる。それでも、そこにはベイビーがいてくれるのなら、大丈夫だとそう感じた。

役者について

TAKAHIRO(以下たー様)はあれだけ癖があって上手い演者の中で、最初のうちは言動に比例せずあまり目立たないのだけど、先にも書いたように彼は周囲を写す鏡だからと考えるとその自然さがとても良かったなと思う。『MOJO』という作品では大事なモノローグを語る場面*1からは、彼が元々持っている業の深さがにじみ出てきて、キャラクターをはっきり感じることができる。それからはもう愛おしくて愛おしくて。贔屓目でもいい。最高。

波岡さんの演じたミッキーは本当ならばもっと老齢なんだろうなとは思った。オーナーの後釜を虎視眈々と狙っている男(いい年)みたいな。波岡さんのミッキーはベイビーのように本質を見抜く人にとっては他愛もない存在で、薄っぺらに見えるのだろうなと思わせる不思議な感じ。個人的には彼をヘラヘラしてないどっしりとした役で見るのが珍しかった。

木村了くんのスイーツ、本当に好き。馬鹿な薬中でも未来に対する漠然とした不安を持っている。優位に立つ人に取り入ろうとするんだけどそれも上手くいかず、宙ぶらりん。なにもかもが後手に回る感じ。ベイビーに本性を見透かされても、「本当の自分を見てくれた」と喜んでそうな感じもなくないなと思った。

そして、『イヌの日*2』ぶりの尾上寛之さんのシドニーがこれもまた最高で。スイーツとのゲスい会話も尾上さんと了くんだからすっと入ってくるというか。拒絶反応を示す前に笑ってしまう。悔しい。この二人の掛け合いを見ていると、演劇を見ているなぁというか、場面場面の空気感を察しながら、物語を展開させていくスキルを見せつけられるというか。個人的にはたー様の「初舞台」をこの二人に支えてもらって嬉しい。「ありがとうネルケ」の気持ち。

味方くんのスキニーは嫌いになりきれないけど、ベイビーだったらほんとイラつくんだろうなという感じ。キャラ的に舌っ足らずなのだけど、滑舌の良くない味方くんが本当に新鮮で、何しても笑いを持っていっていたと思う。彼のポイントとしては「子供がほしいんだよね」というくだりだろうけど、そんなに掘り下げられるような感じで使われてなくて良いのかなとは思った。あのコミュニティの中であの発言は結構意味深だと思うのだけど。

閑話休題木村了、尾上寛之、味方良介ってくるとめちゃくちゃ『ライチ☆光クラブ』やんと思ってしまう。2012年・2014年のゼラと、2015年*3のニコとダフですからね。味方くんは最後血まみれだし。ネルケの思惑はよく分からん。

最後にシルバー・ジョニーを演じた横田龍儀くん。映画『宇田川町でまっててよ。』ぶりに演技を観ました。あまり台詞が多いわけではなかったけれど、シルバー・ジョニーの幼さ、無垢さ、若いからこその言動に垣間見えるワガママさが良く出ていたと思う。この作品でいろんなことを学んでいるんだろうな感も良い。

enterstage.jp

ameblo.jp

それでは


仮面ライダーに絶対になるぞー爆笑

ぜひ、仮面ライダーになってほしいですね。

 余談

MOJO』を観ていて思い出したのが『謎めいた肌*4『Jの総て』『クロードと一緒に*5』。特に『謎めいた肌』はモノローグの入れ方や、あまりに無邪気に出来事が展開していくところに近いものを感じた。ここらへんの話のことを時間的にも内容的にも永遠と考えてしまう人は、『MOJO』も観て一緒にベイビーについて考えてほしい(切望)。歪んでも歪みきれず、どこかに正気を残してしまっていることは幸せなのか不幸せなのか。結局救い主がいるかいないかが左右するのだなと思っているけど、果たして救いとはなんだろうな。

ゲネプロ映像

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舞台『東京喰種』〜或いは、超越的美食学をめぐる瞑想録〜

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STORY

「あんていく」で働き始めたカネキの前に、“美食家(グルメ)”と呼ばれる喰種・月山習が現れた。月山を警戒するトーカは、カネキに「あいつとは関わらない方がいい」と釘を刺す。しかし、月山はカネキの特殊な「におい」に目をつけ、再び接触を図る。誘われるがまま、「喰種レストラン」へと足を運ぶカネキ。その先で見たのは、衝撃的な“喰種”の世界だった。

一方、カネキとの戦いで怪我を負ったニシキは、傷が癒えず苦しんでいた。傍に寄り添うのは、人間の恋人・貴未。ヒデを殺そうとしたニシキを知るカネキは、疑問に思う。人間を食い物としてしか見ていなかったニシキにとって、彼女はどういう存在なのか?

“人間”と“喰種”、二つの世界に触れていくカネキ。彼の眼に映るのは絶望か、それとも―――。

舞台『東京喰種トーキョーグール』〜或いは、超越的美食学をめぐる瞑想録〜 - マーベラス

REVIEW

前作をdアニメストアで見ようと思った時に、アニメも履修しました。なので、前作が「え、ここで終わるの!?!?なにも始まってないよ!!!」と思ってたことが懐かしく、今度は推しが主演を務めると知って、観てきました。

総論:ニシキ先輩がだいすき~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!

アニメを観ていて流れは把握しているので、喰種で唯一好きなキャラクターのニシキ先輩の物語になるであろうことは想像できたのですが、やっぱり好きでした。喰種、カネキが頑張るまで時間がかかり、いまいち気持ちの乗りきれない作品だなと思っていたので、全体としてはあまり記憶に残らないのですが、ニシキ先輩は別です。最高です。鈴木勝吾のニシキ先輩、前作に引き続き妙にリアルなムカつく態度で急所を突いてくるし、キミちゃんにだけでろ甘なのも二次元過ぎて好き。対してチャラい台詞があるわけでもないのに、鈴木勝吾のニシキ先輩からはクズさがにじみ出ていて、心のなかで「理解」と腕を組む自分がいました。とにかく好き。喰種と人間の子供が生まれたら良いですね(希望的観測)

あと、動ける鈴木勝吾が好きです。(何回も言う)

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一人だけミュージカルなヒデ様

プロジェクションマッピング多めですが、基本的にはストプレだったはずなんですけど、月山を演じるヒデ様だけ確実にミュージカルでした。というか子爵が重なりました。宮野真守のオーバーテンションなキャラクターを別軸で全力でやってくれるヒデ様はマジリスペクト(適当)以上です。

妖しい担当ミツムラ

大正解ですね~これは。こんな正解あるんでしょうか。生きているのかいないのかよくわからない役がこんなに似合うとは。もはや彼自体が人間ではない…???

存在感の薄い主人公と東京喰種

『男水』に引き続きキラキラ輝かない主人公を演じた松田凌。個人的にはすっごく消化不良なんですが、こういうキャラクターって流行ってるんですかね。新しいタイプの主人公像というか。東京喰種にとってはこうある必要があるんだろうな。にしても、というかこの後も知っているからより思うんだけど、カネキはこれから確固たる答えも出さないし、半径数メートルのテリトリーを守ろうとするだけだし、周りから学んだあれこれはついぞ昇華される感じがなくて好きになれないんだよな。大きなものを相手に戦っているにも関わらず、自分のことは自分のポリシーの中で考えていくのが正解って言われてるみたいで、「そんなの知ってるよ」ってなっちゃう。掲げてるテーマがエンタメっぽく感じないのは良いとして、こんな大きな話にしなくてもっとリアリティがあったほうがすっと入って来るのにな。たぶんこのあたりが好んでアニメ原作の舞台を観ない理由なのだけど。カネキが小越勇輝から松田凌に変わって優柔不断度が増したというか、精神は安定してそうなのにずっとウダウダ言ってるのが際立っていた。小越くんはもっと「若いから分からない」のだという青さがあったように感じられたから。そのまんま成長したと捉えれば良いのかな。あと、今回は声だけの登場だったけど、ヒデを演じる宮崎秋人にとっての小越勇輝と松田凌がどっちも「親友」なのが妙にリンクしていて面白かったです。という話。

コンディション的に考えることができないのか、やっぱりこの手の作品に気持ちが入らないのかどっちか分からない。こんなクソっぽい感想しか書けなくて絶望した。

追記

最近食べるということを強く意識したのはこちらの作品を観てから。

aooaao.hatenablog.com

完全食としての血と肉。喰種は人間と同じ寿命なのだろうか。なんにせよ彼等の発露が分からないとなにも考えられない。